ホテルの客室清掃って、基本的に1人で作業するお仕事なので人間関係の煩わしさを嫌う人には注目されるお仕事ですよね。
でも、仕事はキツそうで、私にもこなせるかしら?
なんて思っていませんか?
正直、すぐに辞めてしまう人もいれば、長年ホテルの客室清掃のお仕事に携わっている方もいらっしゃいます。
では、その違いって何でしょう?
ホテルの客室清掃に向いている人ってどんな人?
お仕事の内容をご紹介しながら、解説いたします!
ホテルの客室清掃にむている人ってどんな人?
ホテルの客室清掃のお仕事は単調です。
同じことの繰り返しを数部屋分こなすわけですから、黙々と作業することが好きな人が一番このお仕事に合います。
ミスなく、スピードも要求されるので自分なりに工夫しながらレベルアップできる人にはぴったりのお仕事と言えます。
接客が嫌いで、1人の作業が好きだから・・・という理由でこのお仕事に入る人が大半ですが、能力の差が目に付きやすいお仕事でもあります。
早く仕事をこなしたい、ミスせず信頼されたいという気持ちが強い人ほど自分の仕事に対して工夫をしますし、スピードも上がってきます。
そうなれる人が長くこのお仕事に就く方ですね。
ホテルの客室清掃ってどんなお仕事?
お客様がチェックアウトする前の9時30分開始で、14時から15時くらいまでが勤務時間です。
4,5時間勤務のところが多いようです。
その時間内に9部屋ほどがノルマとして割り当てられます。
部屋数は勤務するホテルによって様々です。
シングル部屋ばかりのビジネスホテルになると、部屋が狭い分、14部屋くらいをノルマとしてこなさなければならなかったりするので、面接の時にしっかりと確認しておく必要があります。
ホテルの客室清掃の面接に行く前、面接中にチェックすべきことはコレ!↓
まずは制服に着替えて道具を整えます
メイドさんって滅多にお客さんと接したりしないのですが、制服を決めているホテルが多いです。
ベージュや黒などの地味目の色のポロシャツとキュロットといったものが多く、ホテルによっては三角巾で髪をまとめるところもあります。
着替えたら、リネン庫と呼ばれる部屋に入り、自分の道具を整えます。
大きなカバンの中に、客室用、浴室用のゴミ袋やアメニティ類、ティッシュ、お茶のティーバックなどを用意します。
そのほかにも、客室のデスクの上に設置するアンケート用紙やグリーティングカード、ランドリー袋、サニタリー袋、便箋と封筒など様々な備品をカバンの中に詰め込みます。
メイドさんによって、これらの物を取り出しやすいように仕切りなどの工夫をして入れています。
百均のプラスティックの小物入れなどが便利です。
ゴミ袋はスーパーのレジのおばさんがやっているような、手繰り寄せて棒状にまとめておくと取り出しやすいしゴミ箱にもかけやすいというわけですね。
グリーティングカードには自分の名前を書き込みます。これも仕事前にしておかないと、
作業中にいちいち書かなくてはいけない羽目になります。
指示書には作業について重要事項がいっぱい
自分の担当する階が月ごとに決まっているホテルや、その日によって替わるとこなどがありますが、まずは担当階の指示書なるものを各自受け取ります。
この指示書には、今日チェックアウトする部屋と、ステイと言って連泊する部屋が書かれてあります。
他にも、お客様のリクエストで枕追加やら、タオル追加やら、清掃不要やら、の重要情報が書かれてあります。
排水溝が臭うとか、空調がおかしいとかのクレームも朝礼で申し渡されます。
そうすると、担当のメイドさんはそれなりの対応をしなくてはならず清掃以外の仕事が増えたりもします。
ホテル内にはツイン部屋、ダブル部屋、シングル部屋とタイプが違う部屋が混在していて、清掃の仕方も部屋ごとに異なります。
部屋のタイプは、仕事に就いて慣れてくれば部屋番号を見るだけで分かるようになります。
苦手な部屋や楽な部屋が出てきて、早く終わらせたいのに、なかなかお客様が退室してくれないなどの心配事も出てくるんですよね。メイドさん、あるあるです。
ツインをシングルで使う場合や、シングルをダブルで使用する場合など、イレギュラーな使い方をすることがあります。
もちろんそれも指示書に書かれているので、メイドさんがチェックをして指示通りにアメニティを入れたり、枕やタオル類を追加したりします。
仕事に慣れない間は、この辺でよくミスをします。
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各階に移動して清掃開始です
10分ほどの朝礼がすむと、各階に移動します。
エレベーターを使用しますが、大抵のビジネスホテルはお客様と同じエレベーターを使用するので乗り込むタイミングには気をつけなければなりません。
お客様のエレベーター使用が途切れたときを見計らって乗り込みます。本当に影のスタッフですよね。
各階にもリネン庫と呼ばれる部屋があり、シーツ類、タオル類が置いてあります。
部屋に清掃に入る前に、この各階のリネン庫でも仕事があります。
シーツ、タオル類が紐で縛られている場合は、切っておきます。
スリッパを持ち出しやすいように棚に整理して並べて置いたり、回収したリネンを入れる袋を床に並べて置いたりします。
このあたりの仕事は、ホテルによって様々です。
ステイ部屋以外は全て開錠しておきます
リネン庫内の仕事が済んだら、チェックアウト済みの部屋と未使用の部屋の開錠をしていきます。
このとき、指示書をしっかり確認しながら、ステイ部屋とアウト部屋を間違えないように注意する必要があります。
鍵を開けたらようやく清掃開始です
清掃の手順は、研修の時に一通り教えてもらいますが、慣れてくれば、自分で早くできる手順で作業をしていくようになります。
清掃は綺麗に仕上げることと、アメニティや支持された物の欠品がないようにすることが一番大事ですがある程度スピードも求められます。
15時チェックインのホテルでも、14時にチェックインされるお客様がいらっしゃったり、団体のお客様の荷物だけが到着してきたりすることがあります。
それに自分自身でも早く仕事を終わらせたいという気持ちが作用して、次第にスピードアップしてきます。
仕事を始めたばかりの頃は、スピードを優先するとミスが増えるし、ミスを恐れるばかりに仕事が遅くなったりしてもどかしい日々が続きます。
清掃の仕事をスピードアップするためには
自分なりのルーティーンを決めることが一番です。
いつも違った手順で作業をすることは、見落としに繋がります。
手順はいつも同じにしておけば、ミスを防げますよ。
私の手順をご披露すると
1・未使用のアメニティとゴミの回収
バスルームにあるアメニティ、ゴミ、タオル類を回収します。それから窓の方に移動しながらデスク上、室内のゴミ箱のゴミ、サイドテーブル上のゴミ、床のゴミを拾います。
2・窓を開けます
ゴミを拾いながら移動して窓まで行き着いたら、窓を開けます(チェックアウト済みの部屋のみ)
再度浴室に戻る時に使用済みのコップ、ポットを回収しながら浴室へ移動します。
3・コップ、ポットを洗います
洗ったポットは窓辺で乾かします。コップは洗面所に伏せておきます。
4・バスタブを洗います
設置してあるシャンプー、コンディショナー、ボディソープ、ハンドソープを床に降ろし、バスタブ、洗面台、トイレの順に洗います。
5・ベッドのシーツ類を剥がします
剥がしたシーツにデュべ、タオル、スリッパ、枕カバーを包んで、先ほど回収したゴミ袋と一緒にリネン庫に持ち帰ります。リネン類は分別してそれぞれ袋に入れます。ゴミも缶瓶と燃えるゴミを分けて袋に入れます。燃えるゴミが入った袋には部屋番号を書き込みます。お客様の忘れ物を探すための最終手段ですね。
6・新しいリネン類を持って客室へ
先にベッドメイクをします。部屋が美しく見えるかどうかは、このベッドメイクにかかってきます。
デュべに綺麗に掛け布団を入れるのは、最初のうちはとても難しく感じますが、これも慣れです。
作業をしていくうちにオリジナルの整え方を考えつくものです。
私の場合、縦に二つ折りにした掛け布団をさらに横に三つ折りにしてデュべの中に入れ込みます。
私が務めているホテルのデュべは横開きですので、開いているところから手を入れて掛け布団の上端と下端をもちデュべの中で掛け布団を開きます。
あとは思いっきり振って四方の端が綺麗にデュべの中に収まるようにして、ベッドに綺麗にかぶせて体裁を整えます。
7・バスルームの仕上げをします
ベッドメイクをしている間に、バスタブや壁が乾いていることを期待して、バスルームの仕上げは後回しにしています。
少しでも拭きあげる範囲が少なければそれだけ早く終わりますものね。
バスルームでは立ったり座ったりの回数をできるだけ少なくすることで時短が出来ます。
まずはバスタブの縁を拭きあげ、バスタブの中は拭きません。
立ったままカラン類やシャワーヘッド、手すり、壁などを拭きます。
そのまま洗面台のカラン、鏡、洗面ホールなどを拭き、コップ、トレイを綺麗にします。
ハンドソープやシャンプー類をセットしたら、しゃがみこんでバスタブの中、ゆか、トイレを拭きあげます。
最後にアメニティ類とタオル類のセット、トイレットペーパーを三角折りして終了です。
シャワーカーテンがある部屋はタオル類をセットするときに畳み、バスタブの縁にセッティングします。
ステイ清掃とアウト清掃の違い
連泊中のお部屋を掃除することをステイ清掃、チェックアウト済みのお部屋の清掃はアウト清掃と言います。
ステイ清掃はドアを閉じまたまま清掃をします。リネン類をリネン庫に持っていくときもドアラッチなどは使わず必ず施錠をしてから部屋を離れるのが鉄則です。
お客様個人のお宅を清掃するという意識が必要です。
初心者のうちは非常に気を使うので、ステイ清掃が嫌いという方も多いと思います。
デスク上や床に置いてあるお客様の持ち物には触らないようにして清掃をするので、アウト清掃よりは多少やりにくさを感じるのは確かですね。
ただアウト清掃と違って、ドライヤーや卓上鏡を定位置に戻す必要はなく、お客様が使われていたそのままの場所に置いておくのが決まりです。使いっぱなしであっても、そのままにしておけば良いので楽です。
デスクの上に物が溢れている場合は拭き掃除をする場所が少ないので、ベテランになるとアウト清掃より早く仕上げることができます。
注意しなければならないのは、アメニティ類を捨ててしまわないこと。
ゴミ箱に入っていない空き缶、瓶類、紙くずであっても決して捨てないこと、ですね。
ベッドの上に丸めたティッシュがあっても、それはゴミ箱に入っていないのでゴミではありません。
恐らく捨てるんだろうな〜と思われる、ゴミ箱横に置いてあるペットボトルなどもゴミ箱に入っていないので捨てません。
ステイ清掃には種類がある
ステイ清掃にはこの三つがあります。
☑エコ清掃
☑清掃不要
☑DD部屋
「エコ清掃」とは
ベッドのシーツ類は交換せず、タオル類の交換のみをすることです。
お風呂やトイレの清掃はいつも通りですが、ベッドは少し整える程度でOKです。
担当している部屋に「エコ清掃」のお部屋があるとラッキーですよね。
「清掃不要」とは
文字通り清掃しないお部屋です。
このお部屋には入室してはいけません。
お客様が在室している場合もあるので、絶対に入らないことです。
「DD部屋」とは
Don’t disturb.の略で、訳すと「邪魔しないで」という意味です。
このお部屋の近辺の清掃はなるべく静かに行います。お休みになっていることが多いからです。メイドにとってはちょっと厄介なお部屋です。
お客様がいつ退室するかわからないし、終業時間ギリギリに清掃を求められる可能性もあります。
ベッドメイクのお仕事の利点
ベッドメイクのお仕事は、思っている以上に重労働です。
真冬でも汗だくで作業しているくらいなので、真夏は地獄です。
もちろんお部屋の空調は使うことができるので、常に冷房をつけて作業をすれば良いのですが
それでもとにかく汗はかきます。
仕事を始めてすぐに体重が落ちます。ダイエットをしたい方には、お金をもらいながらエクササイズをしていると思えば一石二鳥ですよね。
ただ、体調を崩しているときにこのお仕事は非常にきついので、普段から体調管理には今まで以上に気を使います。
急に仕事を休んだりすると、他のメイドさんの9部屋のノルマが1部屋増えたりしてしまうので普通に事務のお仕事とは違って、さらに体調管理をしっかりしなくてはいけません。
なんとなくそう聞くと厳しい感じがしますが、このお仕事は一人での作業になるので、他のメイドさんとの息が合わないだの、無駄なおしゃべりをしなくちゃいけないだのの気を使うことが一切ないので、仕事の流れさえ掴めたら楽だと思います。
ミスをしても、一人でいる部屋にチェックする人が入ってきて注意されるだけなので、そういうことを気にする方にも良いのではと思います。
ミスをするのも最初のうちだけで、数ヶ月すれば毎日同じことの繰り返しの中でミスをすることはほとんど無くなるでしょう。
気になる時給は?
お住いの地域によると思いますが、1,000円前後だと思います。
地方のホテルだと1,000円を切る時給もありますが、都心部とは忙しさの程度が違っていたり、客層がのんびりしているなどの差で、数十円程度の違いがあるかもしれません。
メイドさんのお仕事ってこんな方にぴったり!
一人での作業でコツコツお仕事したい方にはオススメです。
確かに体力的にきつい仕事ではありますが、全てのお部屋の清掃が終わった時の達成感を毎日味わうことができます。
最近では、女性ばかりではなく男性もこの業界に入ってきています。
男女一緒の職場なので、心配するような女性同士のいざこざも少ないと思います。
どの職場でも必要な、挨拶や他人を思いやる気持ちがあれば、大きなトラブルは回避できます。
仕事をしながら1万歩近く歩くことになるので、体力もつきますし、ダイエットにもなります。
時々グリーティングカードにお客様からの感謝の言葉が書かれていると、非常にやりがいを感じますよ。
接客が苦手、一人での作業が好き、という方にはぴったりのお仕事だと思います。
まとめ
日本全国たくさんのビジネスホテルがありますが、仕事内容はほぼ同じだと思います。
これからこの業界に入ろうと思っている方は、秋にスタートするのが一番だと思います。
春、夏スタートされる方は暑さ対策が大変で、体が慣れていないのも加えて離職される方が多いようです。
慣れれば気楽な仕事です。
すぐに辞めてしまう方がいる反面、一定期間継続できればずっとメイドの仕事を続ける方も多いです。
つまり、慣れれば本当に良いお仕事だと思いますよ。
採用されたら、まずは3ヶ月頑張ってみて下さい。
きっと、これ以上気楽な仕事はないと実感できるはずです。