94期生で月組トップとなった珠城りょうさんと89期生で2番手となった美弥るりかさん。
色々と事情を詮索する噂はありますが、月組を知的な役者軍団にしているのは確かにこの二人です。
かたち上、トップと2番手に収まってはいますが、この二人の舞台上のバランスは往年の安奈淳さんと榛名由梨さんを思わせる美しさです。
珠城りょうさんの魅力に迫りつつ、美弥るりかさんの月組愛にも触れたいと思います。
男役としては恵まれすぎている資質の珠城りょう
線の細い男役が多い中、彼女ほどガタイの良い男役も珍しいです。
女性が男役をするときに一番気を使うのは後ろ姿です。
女性らしいヒップラインが目立ってはファンのイメージを壊してしまうことから、宝塚の男役は腰の細い方が多いですよね。
線が細く、中性的な男役はどこか儚げな美しさを持っているのが宝塚の男役の定義でした。
ところが珠城りょうさんは、身長172センチで肩幅が広く、手の大きさといい、足のたくましさといい、本当の男性のようです。
本人も「脚力が自慢」と豪語しているだけあって、娘役さんにとっては本当に頼れる男役さんですよね。
男役としての安定感を兼ね備えた珠城りょう
激情ーホセとカルメンーで彼女が見せた包容力には驚かされました。
カルメンにのめり込んでいく男性の心情がものすごくリアルに演じられていて、彼女が女であることを忘れてしまうほどでした。
歴代ホセの姿月あさとさんと柚希礼音さんもどちらかというと男の色気のある男役さんですが、珠城りょうさんのホセの色気には霞んでしまいます。
華奢な愛希れいかさんを包み込んでしまう大きな男性に魅了されたファンも多いのではないでしょうか。
彼女の役作りは一貫して「立ち位置」
初舞台から10年目の彼女の役作りは、一貫して「作品の中で自分の役がどういう位置にいるのか」ということ。
「1789」のロペスピエールはまさに「どんな立ち位置か」を考えながら演じた役柄ではないでしょうか。
ロペスピエールは歴史上実在した人物でロナンにシンパシーを感じる人物。
それもそのはず、ロペスピエールは貴族のような振りをしているが実は第三身分に属する人物です。
奨学金を得ながらパリ大学まで進学して弁護士資格を取得し、犯罪者の家族が同じく刑罰を受けることを禁止する法案に関わるあたり、ロナンに同情を示したというロペスピエールの人物像が表現されているように思います。
「1789」のなかで彼女の演じたロペスピエールはリーダーシップを取り、のちには独裁者と呼ばれるような人物。
「静」の中にも情熱があり、他を圧倒するような存在感で見事にロペスピエールを演じていたと思います。
美弥るりかの男役は中性的な魅力
自ら宝塚ファン歴が長いとかたる美弥るりかさん。
特に涼風真世さんのファンだったことから、「グランドホテル」のオットーを演じることになった時には恐れ多かったそう。
どことなく涼風真世さんを彷彿させる容姿の美弥るりかさんは、本当に線の細いフェアリータイプの男役さんだと思います。
その辺も涼風真世さんとそっくりですよね。
男役さんの三白眼が好きという美弥るりかさんですが、思い出してみると涼風真世さんは見事は三白眼ですよね。
彼女の「好き」の言葉の裏には常に涼風真世さんがいるようです。
女ったらしを品よく演じられる男役
中性的な魅力のある男役さんが、女ったらしな役をするのは本当に素敵です。
美しい容姿とは裏腹に、ガツガツと女性を口説くなんて宝塚の男役さんにしかできない役回りですよね。
美弥るりかさんが演じた役としては、「NOBUNAGA」羽柴秀吉や「All for One」のアラミスなどの女好きな役どころが意外にもはまり役でした。
女好きな遊び人なのに品がある〜のは宝塚ならではですね。
個性的なようで何色にも染まれる美弥るりか
宝塚一といわれる大きな目で、個性が光る美弥るりかさんですが、舞台上では何色にでも染まれそうなイメージがあります。
美弥るりかさんといえば、パステルカラー?黒?ゴールド?そのどの色にも染まれそうな幅のある演技力が魅力です。
何度も言うようですが、線の細さからフェアリー的な要素を持ち合わせているのに彼女。
男役で注目するのは、「手」だそうです。
血管の目立つ、骨太な感じの手が男役の魅力だと感じているのだとか。
ファンがフェアリーのような美弥るりかさんに魅力を感じているのとは裏腹に、彼女はそんな男らしい手を持つ男役に憧れているのでしょうね。
いつかは観てみたい「ベルばら:オスカル編」
美弥るりかさんのオスカルと珠城りょうさんのアンドレはいつかは観てみたいとは思いませんか?
「ベルばら:アンドレ編」でもいいですね。
とにかく珠城りょうさんはアンドレです。
そして、美弥るりかさんはオスカル役で、フィナーレには美しいドレス姿でアンドレ役の珠城りょうさんとボレロを踊ってほしいものです。
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まとめ
全く正反対の魅力を持つ二人のスターがいる月組は、いろんな可能性があると思います。
美弥るりかさんがタカラジェンヌとして大事にしていることは、トーク力だと言っているように、座談会では話を回すのにとても重要な存在ですよね。
スカイステージの放送を見ても、彼女が下級生に話を振ったり拾ったりするのをよく見かけます。
そしてそれを少し猫背な感じでじっと聞いている珠城りょうさん。
あ〜つくづく良い組だな〜と思ってしまいます。
今後も珠城りょうさんの大きく包み込むような包容力と、美弥るりかさんの細やかな優しさを最大限に生かした舞台を期待しています。
2019年4月15日、美弥るりかさんは宝塚大劇場にて退団公演を無事終えられました。
残すは東京宝塚劇場公演ですね。
最後まで素敵なお姿を拝見できますように。
お疲れ様でした。